「この猫種は病気が多いって聞いたけど、本当?」
迎えたい猫種が決まったとき、ふと不安になることがありますよね。愛猫がこれからずっと元気でいてほしいからこその心配です。
結論からお伝えすると、猫種ごとに「なりやすい病気」の傾向は知られていて、一部は遺伝子検査で調べられます。ただし検査は「発症するかどうか」を言い当てるものではありません。
この記事では、猫種ごとの傾向、遺伝子検査でわかること・わからないこと、そして迎える前にブリーダーや団体へ聞いておきたいことを整理しました。
結論:傾向はわかる。ただし「発症の予告」ではない
猫の遺伝性疾患は、原因となる遺伝子の変異が特定されているものがいくつかあります。それらは、口の中の粘膜や血液からDNAを調べることで検査できます。
とはいえ、検査結果だけで将来が決まるわけではありません。わかること・わからないことを先に押さえておきましょう。
検査でわかること
- 調べた変異を持っているか/持っていないか
- 変異を1本だけ持つ「キャリア(保因)」か、2本持つかという状態
- 繁殖に使う猫から、その変異を次の世代へ渡す可能性があるか
検査でわからないこと
- いつ発症するか、どのくらい重くなるか
- 検査項目にない病気のリスク
- 生活環境や食事、年齢による影響
猫にとっては、検査は口の中を少し触られるだけの時間。結果が「陰性」でも油断せず、「陽性」でも悲観しすぎない、という受け止め方が現実的です。
猫種ごとに知られている遺伝性疾患の傾向
ここからは具体的な猫種の話です。日本で猫のDNA検査を提供している検査会社では、猫種ごとに推奨される検査項目が示されています。代表的なものを見てみましょう。
| 猫種 | 検査の対象になっている主な項目 |
|---|---|
| スコティッシュフォールド | 骨軟骨異形成(OCD)/多発性嚢胞腎(PKD)/心筋症(HCM)など |
| ペルシャ | 多発性嚢胞腎(PKD)/ピルビン酸キナーゼ欠乏症など |
| メインクーン | 心筋症(HCM)/多発性嚢胞腎(PKD)/進行性網膜萎縮など |
| ラグドール | 心筋症(HCM)/多発性嚢胞腎(PKD)など |
| アビシニアン・ソマリ | 進行性網膜萎縮/ピルビン酸キナーゼ欠乏症など |
| ベンガル | 進行性網膜萎縮(ベンガル型)/心筋症(HCM)など |
※掲載時点の情報です。検査項目は会社や年度によって変わります。
スコティッシュフォールドの折れ耳と骨軟骨異形成
あのかわいい折れ耳は、軟骨の作られ方の違いによるもの。そのため、骨や関節に負担が出る骨軟骨異形成(OCD)と関係があるといわれています。
歩き方がぎこちない、ジャンプを避ける、しっぽの付け根が硬い。こうした様子が見られたら、早めにかかりつけの獣医師へ相談を。
ペルシャ系やアメリカンショートヘアの多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎(PKD)は、腎臓の中にたくさんの嚢胞(液体のふくろ)ができる病気。ペルシャ系の長毛種やアメリカンショートヘアで知られています。
初期は症状が出にくく、進むと元気・食欲の低下、嘔吐、水をたくさん飲む、おしっこが増えるといった変化が現れます。有効な予防法は今のところありません。
だからこそ早期発見が鍵。発症しやすい猫種では、若いうちにレントゲンや超音波(エコー)で腎臓を見ておくことがすすめられています。
メインクーンやラグドールの心筋症
心筋症(HCM)は、心臓の筋肉が厚くなる病気です。メインクーンやラグドールでは原因となる変異が知られていて、検査の対象になっています。
猫は体調が悪くても隠すのが上手な動物。息が速い、動きたがらない、急に後ろ足を引きずるといったサインは見逃さないであげてください。
ミックス猫はどう考える?
ミックス猫は、特定の猫種に偏った遺伝的リスクを持ちにくいといわれます。一方で検査会社では、ミックス猫の検査は両親の猫種がわかっている場合に限って受け付けていることも。
つまり出自がわからない猫では、検査項目を選ぶ手がかりがありません。その場合は遺伝子検査よりも、定期健診で体の状態を追うほうが現実的です。
遺伝子検査はどこで、いくらで受けられる?
「気になるから調べてみたい」と思ったときの選択肢も見ておきましょう。
検査の受け方
猫のDNA検査は、専門の検査会社に依頼する形が一般的です。かかりつけの動物病院に相談すると、取り扱いの有無や検体の採り方を案内してもらえます。
ブリーダーから迎える場合は、親猫の検査証明書を見せてもらえることもあります。
費用の目安
ある国内の検査会社では、1項目あたり4,950円(税込)、猫種ごとの推奨項目をまとめて受けると2項目で9,350円、4項目で16,500円という価格が示されています(掲載時点)。
項目が増えるほど1項目あたりは安くなる設計。とはいえ全項目を調べる必要があるかは別の話なので、必要な項目を獣医師と絞るのがおすすめ。
検査より先にできること
遺伝子検査は万能ではありません。多発性嚢胞腎のように超音波で見つけられる病気もあるため、まずは定期健診を習慣にするほうが効果が高い場合も。
検査は「受けるかどうか」より「結果をどう使うか」。心配な項目があるなら、どんな変化に気をつければいいかを獣医師に聞いておくと安心です。
迎える前に、ブリーダー・団体へ聞いておきたいこと
迎える前にできる確認は、実はけっこうあります。聞きにくいことではないので、遠慮せずどうぞ。
質問リスト
- 親猫の遺伝子検査をしていますか? 項目と結果を見せてもらえるか
- 親猫やきょうだい猫に、健康上の問題はありましたか?
- 心臓や腎臓の検査(超音波など)は受けていますか?
- 迎えたあとに体調の相談ができますか? 窓口があるか
- ワクチン・健康診断の記録をもらえますか?
答えをはぐらかされたり、記録が何も残っていなかったりするときは、いったん立ち止まる判断も大切。保護猫の場合は検査記録がないことも多いので、「わからない」と正直に答えてくれる団体のほうが信頼できます。
よくある質問
飼い主さんから寄せられやすい疑問をまとめました。
Q. 検査で変異が見つかったら、必ず発症しますか?
いいえ。遺伝子検査でわかるのは「その変異を持っているか」までです。発症の時期や程度は個体差が大きく、検査結果だけでは決まりません。結果の読み方は獣医師と一緒に確認してください。
Q. 迎えたあとに検査する意味はありますか?
あります。気をつけるポイントがはっきりすれば、健診の項目や頻度を相談しやすくなるからです。ただし検査より優先したいのは、年齢に合った定期健診のほう。
Q. 遺伝性の病気はペット保険で補償されますか?
商品によって扱いが違います。先天性・遺伝性の疾患を補償対象外としている商品もあるため、加入前に約款の「補償されないもの」の項目を確認しておきましょう。
まとめ
猫の遺伝性疾患と猫種、検査について見てきました。押さえておきたいのは3つです。
- 猫種ごとに傾向はあり、一部は遺伝子検査で調べられる
- 検査でわかるのは変異の有無まで。発症の時期や重さは予測できない
- 迎える前は親猫の検査記録を確認し、迎えたあとは定期健診を続ける
「病気が多い猫種かも」と調べているのは、その子を大事にしたい気持ちがあるから。傾向を知っておくことは、怖がるためではなく、やさしく備えるためのものです。
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⚠️ 免責事項
この記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。掲載情報は執筆時点のものであり、個々の状況によって異なります。気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。