「猫の殺処分って、今はどれくらいなんだろう」。ニュースや保護猫の投稿を見て、ふと気になって検索された方が多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、環境省の統計で最新の令和6年度(2024年度)、猫の殺処分数は4,866頭。ピークだった平成16年度の238,929頭とくらべると、およそ50分の1にまで減っています。
数字だけを見ると、ずいぶん遠いところの話に感じるかもしれません。でもこの減り方の裏側には、迎えた人・支えた人の積み重ねがあります。この記事では最新の数字とその読み方、そして「自分にもできること」までを整理しました。
結論:令和6年度の猫の殺処分数は4,866頭。20年で約50分の1に
まず全体像から。数字の大きさより、どう動いてきたかを見るほうが、今の状況はつかみやすくなります。
| 項目(令和6年度・猫) | 頭数 |
|---|---|
| 引取り数 | 22,010頭 |
| 返還数 | 225頭 |
| 譲渡数 | 16,854頭 |
| 殺処分数 | 4,866頭 |
犬とあわせた殺処分数は6,830頭。前年度の9,017頭から、1年で約24パーセント減りました。
平成16年度には、猫だけで238,929頭。当時を知る人ほど、この20年の変化に驚くはずです。まだゼロではないけれど、確かに動いている。それが今の現在地です。
出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
数字を、もう少し近くで見てみる
合計だけでは見えないことがあります。内訳を3つの角度から見ていくと、いま何が課題なのかが浮かび上がってきます。
引取られた猫の約8割が、新しい家族のもとへ
令和6年度に自治体が引取った猫は22,010頭。そのうち16,854頭が譲渡され、225頭が飼い主さんのもとへ返還されました。
引取られた子の8割近くが、次の暮らしへつながっている計算になります。ひとむかし前とは、まるで違う景色。
「殺処分」という言葉に含まれているもの
ここは、あまり知られていないところ。
環境省の説明によると、殺処分数には「治癒の見込みがない病気や攻撃性があるなど、譲渡することが適切でない動物」や、「引取られたあとの自然死・病死」も含まれています。
つまり4,866頭のすべてが「行き先がないから」というわけではありません。数字をそのまま受け取ると、実態より重く感じてしまうことがあります。
かといって、軽く見ていいわけでもない。正しく知ることが、正しく動く第一歩だと考えています。
半数以上が、まだ目も開いたばかりの子猫
殺処分された猫4,866頭のうち、離乳前の幼齢個体は2,579頭。全体の半数を超えています。
生まれたばかりの子猫は、数時間おきのミルクが必要。人の手がどれだけあっても足りない現実が、この数字の背景にあります。
猫にとっては、生まれてくる場所を選べません。だからこそ、生まれる前にできることがあります。
なぜ、ここまで減ってきたのか
減った理由がわかると、「じゃあ自分は何をすればいいのか」も見えてきます。大きく3つ。
譲渡という選択肢が、あたりまえになった
保護猫団体や譲渡会が各地に広がり、自治体も譲渡に力を入れるようになりました。「ペットショップで買う」以外の道が、ふつうの選択肢として知られるようになったこと。これがいちばん大きい変化です。
不妊去勢手術とTNRが進んだ
TNRは、外で暮らす猫を捕獲(Trap)して不妊去勢手術(Neuter)を行い、もとの場所へ戻す(Return)取り組みのこと。手術済みの目印として、耳の先をさくら型にカットした「さくらねこ」を見かけたことがあるかもしれません。
生まれてくる子猫そのものが減れば、引取りも減る。地道ですが、いちばん根元に効く方法です。
ただし、地域によって状況はちがう
全国の合計は減っていても、自治体ごとの事情はさまざま。すでに殺処分ゼロに近い地域もあれば、まだ引取り数の多い地域もあります。
お住まいの自治体の数字は、ほとんどの場合ウェブサイトで公開されています。自分の街の現在地を知ることから始めるのも、いい入り口。
私たちにできる3つのこと
「かわいそう」で終わらせないために。負担の小さいものから、3つ挙げてみます。ひとつだけでも十分です。
① 迎える
次に猫を迎えるとき、保護猫という選択肢を思い出してみてください。譲渡会や里親募集サイト、自治体の譲渡事業など、出会いの場はいくつもあります。
条件が合わない時期もあるはず。そのときは無理をしないで大丈夫です。
② 支える
迎えられなくても、できることはあります。
- 保護団体への寄付や、ほしい物リストからの物資支援
- 一時預かり(フォスター)やミルクボランティア
- 譲渡会に足を運んで、活動を知る
支援先を選ぶときは、活動報告や会計が公開されているか、連絡が取れるかを見ておくと安心。
③ 伝える
いちばん手軽で、いちばん広がるのがこれ。
譲渡会の告知をシェアする。「保護猫を迎えるって、こういう流れなんだよ」と話す。身近な人に届いた情報は、検索よりずっと強く残ります。
よくある質問
検索で一緒に調べられることの多い疑問を、3つまとめました。
Q. 殺処分ゼロの自治体もあるのですか?
はい。年度によって「ゼロ」を達成した自治体はあります。ただし集計の考え方が自治体ごとに少しずつ違うため、単純な比較は難しいところ。数字だけでなく、譲渡の取り組み内容もあわせて見るのがおすすめです。
Q. なぜ猫は犬より数が多いのですか?
犬は登録と係留(つないで飼うこと)が法律で定められている一方、猫にはその仕組みがありません。外で自由に繁殖できる環境が残っていることが、大きな理由のひとつとされています。
Q. 保健所に持ち込まれた猫は、すぐ処分されるのですか?
いいえ。多くの自治体では健康状態や性格を確認したうえで、譲渡できる子を積極的に譲渡に回しています。実際、令和6年度は引取られた猫の約8割が譲渡・返還されました。
まとめ
最後に、大事なところを3つだけ。
- 令和6年度の猫の殺処分数は4,866頭。ピーク時の約50分の1まで減った
- 引取られた猫の約8割は譲渡・返還されている。一方で、殺処分の半数以上は子猫
- 迎える・支える・伝える。どれかひとつからで、十分に力になる
数字が減ってきたのは、誰かが特別なことをしたからではありません。「うちの子は保護猫なんだ」と話す人が増えた、その積み重ね。今日この記事を読んだことも、きっとその一部です。
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